学校設備で萌えて悶える10のお題 「生徒会室」

ウチの学校の生徒会室は、狭い。

理由は単純明快で、一つの教室を、生徒会と放送部で分けて使用しているからだ。
面積は大体6:4ぐらいの割合で、間を背の高いロッカーで仕切っている。
放送中は声を潜めて会議しなければならない等、多少問題点もあるが、休憩時間にお菓子のやり取りをしたり、ちょっとした伝達事項を流して欲しい時に頼みやすい等、メリットも多い。

だから今まで不便を感じた事はなかったのだ――彼女が入学してくるまでは。

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「ちょっ……ガウリイ、駄目だってば!」
「リナが声を出さなければ、大丈夫だって」

ロッカーの向こうからは、バイオリン基調のクラシックが結構な音量で流れてくる。
下校時刻のお知らせってヤツだ。
オレはというと、生徒会室の片隅で、付き合い始めたばかりの下級生の彼女といちゃいちゃしていた。いいだろ。

「放送部の人にばれたら、どーすんのよ!」
「生徒会室に来るには、いったん廊下に出て、ドアから入らなきゃいけないんだから、それまでに離れればいいだろ?」
頬を朱に染め、小声で怒鳴る可愛い彼女。少し短すぎるのではといつも心配している、プリーツのスカートに包まれた細い腰を引き寄せると、オレは栗色の髪に顔を埋めた。
三年なのに、受験と生徒会を両立して頑張ってるんだ。これぐらいのご褒美は、貰ったっていいだろう。
そこのところはリナも理解しているのか、それ以上文句は言わず、恥ずかしそうにオレの腕におさまった。

「……同い年だったら、良かったのにな」
そうすれば、勉強もイベントも、もっと一緒にすごせる時間は多かっただろう。
名前も知らぬ彼女の同級生に、ちょっと嫉妬を覚える。

「……そうね。でも、一緒にいられる時間が少ないからこそ、その時間を大切にしたいって思えるんじゃない?」
「確かに、な」
リナはいつだって前向きだ。いっそ潔いと言ってもいい。
けれど、冷たいとは思わない。彼女のそういう性格に、オレは惚れたのだから。

「じゃあ……貴重な時間を、有効に使わせてもらおうかな」
腰に回した手を、背筋に沿って、つうっと這わせる。その刺激にぴくんっと身を震わせた彼女の後頭部に手を添えると、オレは顔を寄せた。

「調子に……乗ってんじゃないわよっ!」
「―――っ!?」

フェードアウトしていくバイオリンの音を聴きながら。
うめき声一つ上げず耐えたオレを、リナはもーちょっと褒めてくれても良いと思う。


教室を分割して二つの部活で使うのは、私の母校でやってました。
ロッカー越しに、お菓子を投げ合って交換する姿は、はたから見ても楽しそうで。たまーに、おこぼれを貰ったり。てへ。


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